今週の注目馬は、伝統の一戦で春の天皇賞の前哨戦でもある阪神大賞典に出走するアクアヴァーナル。
阪神大賞典は長い歴史の中で、ナリタブライアンとマヤノトップガンの激闘など幾多の名勝負を演じてきた。個人的に印象に残っているのはシーザリオの父、スペシャルウィークが勝利した99年の阪神大賞典。鋭い末脚で前年の日本ダービーを制したスペシャルウィークが先行しながら実力馬のメジロブライトを完封し、現役最強を印象付けた。アクアヴァーナルも、このときのスペシャルウィークと同様に先行して直線で先頭に立ち、他馬の追撃を完封して勝利を収めてほしい。
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アクアヴァーナルは、いわゆる「軽さ」よりも「持続力」に秀でた、エピファネイア産駒の中でもやや異色とも言える存在だ。
これまでの戦績を振り返ると、彼女の真価は明らかに2400m以上で発揮されている。デビュー当初は中距離戦で善戦止まりだったが、距離を延ばした途端にパフォーマンスが一変。特に3000m級の条件戦では、道中でペースが緩んでも折り合いを欠くことなく、ラストまで脚色が衰えない競馬を見せている。上がり勝負では分が悪いものの、持久力勝負に持ち込めば牡馬相手でも互角以上に渡り合える点が最大の強みだ。
そのスタミナの源泉は血統にある。父はステイヤー資質を色濃く伝えることで知られる種牡馬で、母系にも欧州型の重厚な血が流れている。いわゆる瞬発力型サンデー系とは一線を画し、「長く脚を使い続ける」タイプが強調された配合だ。このため、速い上がりが求められる瞬発戦よりも、一定のラップで淡々と流れる消耗戦に強い。阪神大賞典のようなスタミナ比べは、まさに適性のど真ん中と言える。
さらに注目すべきは牝馬である点だ。一般的に長距離戦は筋肉量やパワーで勝る牡馬が優勢とされるが、アクアヴァーナルは体幹の強さと心肺機能の高さでそれを補っている。実際、レース後半で他馬が苦しくなる局面でもフォームが崩れず、淡々と同じリズムで走り続ける姿は、いかにもステイヤーらしい。
今回の阪神大賞典では、ペースが緩まずタフな展開になればなるほど、この馬の持ち味が際立つはずだ。もし先行勢が早めに苦しくなる流れになれば、しぶとく脚を伸ばす彼女が上位争いに食い込むシーンも十分に想像できる。華やかな瞬発力とは対照的な、“削り合い”の中でこそ輝く一頭。アクアヴァーナルは、現代競馬において希少な本格派ステイヤーとして、確かな存在感を放っている。
牝馬ながら抜群の長距離適性があり、牝馬として初めての阪神大賞典制覇を期待したい。


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