【第39回】サンデーサイレンス5×4×3は新たな成功パターンとなるのか――エフフォーリア産駒の躍進から見える未来

シーザリオ血統物語

シーザリオのひ孫世代であるエフフォーリア産駒の快進撃が続いている。

デビュー初週にはジョドレルバンクが鮮やかな勝利を挙げ、今週はベルウッドディープとインカルナータがそろって新馬勝ち。勝ち上がり頭数を着実に増やしながら、種牡馬エフフォーリアへの期待は急速に高まっている。


この活躍を見ていて、血統ファンとして特に興味深いのがサンデーサイレンスのクロスである。

エフフォーリア自身は父エピファネイア、母ケイティーズハートという血統構成を持つ。エピファネイアの母シーザリオはスペシャルウィーク産駒であり、母ケイティーズハートの父はハーツクライ。いずれもサンデーサイレンス直仔であるため、エフフォーリアはサンデーサイレンスの4×3というインブリードを持つことになる。



現役時代のエフフォーリアは、雄大なストライドによる持続力と勝負どころでの爆発力を兼ね備えた名馬だった。皐月賞、天皇賞(秋)、有馬記念を制し、コントレイルやグランアレグリアを破ったパフォーマンスは今も語り草である。

そして種牡馬となった現在、その血がどのように伝わるのかが注目されている。

特に興味深いのは、母父がサンデーサイレンス系の繁殖牝馬との配合だ。エフフォーリアはサンデーサイレンスの4×3のクロスを持つ初めての種牡馬である。



例えば母父ディープインパクト、ダイワメジャー、マンハッタンカフェなどの繁殖と配合された場合、産駒にはサンデーサイレンスの5×4×3というクロスが発生する。

一昔前であれば「サンデーの血が濃すぎるのではないか」と懸念されたかもしれない。過去にも競馬界では、血の飽和により活力を失った歴史を繰り返してきた。しかし近年の日本競馬を見ると、むしろ優秀なサンデーサイレンスの血を適度に重ねることで成功した例が数多く見られる。

代表例がエピファネイア産駒の牝馬3冠のデアリングタクトであり、他にもキズナ産駒のソングライン、モーリス産駒のジェラルディーナ、スワーヴリチャード産駒のレガレイラ。さらに近年の活躍馬を見ても、サンデーサイレンスのクロスを持つ馬は決して珍しくない。



重要なのはクロスそのものではなく、どの能力を強調する形になっているかだろう。

サンデーサイレンスが伝えた最大の武器は、単なるスピードではない。競走馬としての勝負根性、精神力、加速力、そしてレースで能力を出し切るセンスである。

エフフォーリア自身も、その特徴を色濃く受け継いだ競走馬だった。

実際、初年度産駒の走りを見ても興味深い傾向がある。ジョドレルバンクは高い完成度を感じさせる競馬で勝ち上がり、インカルナータはレースセンスを示した。ベルウッドディープは調教通りの鋭い反応を見せて快勝した。

どの馬もタイプは異なるが、「競馬が上手い」という共通点を感じさせる。



これは父エフフォーリアが持つサンデーサイレンスの競走能力が、しっかりと伝わっている証拠かもしれない。

この3頭の母の父は、マンハッタンカフェ、フジキセキ、ディープインパクト。いずれも種牡馬として成功しブルードメアサイアーとして優秀な繁殖牝馬を多く生み出している。これらの種牡馬、特にディープインパクトとの配合で早くも勝ち馬を輩出したことは大きい。しかも生産牧場がノーザンファームなどの社台系牧場ではなく日高産であることも重要な意味をもつ。今後エフフォーリアにはさらに質の高い繁殖牝馬が集まるだろう。特に日本の繁殖牝馬の多くはサンデーサイレンス系種牡馬を父に持っているため、5×4×3というクロスを持つ産駒はますます増えていくはずだ。



その中からクラシックホースが現れれば、「エフフォーリア×サンデー系繁殖」という配合は新たな成功パターンとして定着する可能性がある。

ジョドレルバンク、ベルウッドディープ、インカルナータが見せた好スタートは、単なる早期勝ち上がり以上の意味を持つのかもしれない。

エフフォーリア産駒の躍進は、シーザリオの血だけでなく、日本競馬におけるサンデーサイレンスの血の新たな可能性を示し始めている。


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