シーザリオという名は、シェークスピア『十二夜』に登場する青年シザーリオ(Cesario)に由来します。劇中で「本当の自分」と「仮の姿」が交錯する彼の名は、シーザリオのしなやかで奥深い魅力を象徴しているようです。日米オークス制覇という偉業を成し遂げた彼女は、まさに劇中の主人公のように、多くの人の心を揺さぶる存在でした。
そして、その想いは子供たちの名にも受け継がれています。シーザリオの産駒は、すべてがシェークスピア、あるいは『十二夜』に関連する名を授かっています。
トゥエルフスナイト(Twelfth Night)は、シーザリオの初仔であり、母の名の由来となった 『十二夜』そのものを冠した名前 です。血統の物語が原点へと円を描いて戻るかのようであり、母が生涯をかけて築いた“シェークスピアの系譜”を、次代へとやさしく受け渡す存在としての象徴でもあります。走る姿そのものが、まるで舞台の一幕のように、静かに、そして気品に満ちていました。
エピファネイア(Epiphaneia) は、ギリシャ語でクリスマスから12日目(十二夜)にあたる1月6日「顕現祭」または「姿を現す」という意味を持つ言葉。これは、母シーザリオが示した才能と誇りが、次の世代に確かに“姿を現してほしい”という願いを象徴しているようです。彼がジャパンカップを圧巻の走りで制したとき、多くのファンはシーザリオの面影を見たと言います。
リオンディーズ(Leontes) は、シェークスピア『冬物語』の登場人物“リオンティーズ”に由来し、「獅子のような勇気」を象徴します。母ゆずりの気高さをその名に宿し、朝日杯FSを力強く勝ち取りました。
サートゥルナーリア(Saturnalia) は、「顕現祭」の由来となる古代ローマの豊穣を祝う祭「サートゥルナーリア祭」に由来します。命の恵みと喜びを象徴する名を授かった彼は、デビューから無傷の三連勝でホープフルSを制覇。走りそのものが祝祭のように華やかで、多くの人を魅了しました。
テンペスト(Tempest)は、シーザリオの最後の仔であり、やはりシェークスピアの最後の作品名 テンペスト に由来します。母から子へ、そして世代を超えて“物語”をつなぐ強い意志の表れのように感じられます。
こうしてシーザリオとその子供たちは、まるでシェークスピアの物語が脈々と続いていくかのように、血と名の物語を紡ぎ続けています。彼女の光は、世代を越えて静かに、しかし確かに輝き続けるのです。


コメント