2025年のJRA中央競馬は幕を閉じた。今年を振り返ると、ターフの随所で強烈な存在感を放っていたのは、間違いなく名牝シーザリオの一族だった。公式なJRA賞や年度代表馬の発表は来年を待つことになるが、ここでは一足早く、そしてあくまで独断と愛情によって、「シーザリオ一族に限定した2025年の年度代表馬・JRA賞」を発表したい。対象はシーザリオの娘たちの産駒とエピファネイア、リオンディーズ、サートゥルナーリアの産駒のみ。血の物語を重視した選考である。
【最優秀2歳牡馬】
カヴァレリッツォ(父サートゥルナーリア)
完成度の高さとレースセンスは、2歳戦において群を抜いていた。早い時期から崩れない競馬を続け、サートゥルナーリア産駒らしい「若さと強さの両立」を体現し、サートゥルナーリアに待望の初G1を授けた。来年のクラシックを意識させる堂々たる主役候補だ。
【最優秀2歳牝馬】
フィロステファニ (父エピファネイア)
アルテミスS制覇後に右前肢の屈腱炎を発症し2戦2勝のまま、引退となったエピファネイア産駒。無事ならば阪神ジュベナイルフィリーズを楽勝し、間違いなく2歳牝馬の中心にいた馬だった。エピファネイア産駒の可能性を広げる存在として、果てしない将来性を感じさせた点を重視して選出。
【最優秀3歳牡馬】
ミュージアムマイル(父リオンディーズ)
文句なしの選出である。皐月賞だけでなく3歳にして有馬記念を制したその走りは、世代の枠を超え、父リオンディーズ、そしてシーザリオ一族の底力を世に知らしめた。スピード血統と思われた本馬だが、3歳春のクラシック戦線と秋の王道路線を走り抜け、自らの力で限界を打ち破った象徴的存在だ。2025年は安定した戦績を残しており、来年は国内でも海外でも、更なる飛躍が期待される。
【最優秀3歳牝馬】
エリカエクスプレス(父エピファネイア)
世代牝馬の中で、ある意味で最も「エピファネイアらしさ」を感じさせた一頭。年明けフェアリーSでのスケール感ある走りと精神的な強さは、名牝シーザリオの血を正統に受け継ぐもの。クラシック戦線では精神面の課題もあり安定感に欠けたが秋華賞での2着を評価したい。
【最優秀4歳以上牡馬】
ダノンデサイル(父エピファネイア)
円熟味を増した走りで、古馬戦線を牽引。年明けはアメリカジョッキーズCから始動し、続くドバイSCでは後にジャパンCを勝つカランダガンに圧勝して海外G1初制覇。インターナショナルSは展開に泣かされる結果となったが、帰国後のジャパンC、有馬記念で連続3着と派手さよりも確実性、その積み重ねこそが評価理由だ。かつては早熟説もあったエピファネイア産駒の「息の長さ」を象徴する存在である。来年も引き続き活躍を期待したい。
【最優秀4歳以上牝馬】
該当馬なし
本来なら昨年の桜花賞馬ステレンボッシュが選出されるはずであったが、今年はなかなか結果が出ない一年となった。突出した重賞勝ちこそなかったが、安定して上位争いを演じた牝馬もおり、来年はシーザリオ一族の牝馬が古馬でも戦えることを示す強い古馬牝馬が出てきてほしい。
【最優秀スプリンター】
ヤンキーバローズ(父エピファネイア産駒)
エピファネイア産駒として初めて1600m未満の重賞を制覇したヤンキーバローズを選出。本来マイル〜中距離以上が強い血統の中で、スピードを武器に短距離路線で存在感を示した点を評価。血統の幅を広げた功績は大きい。
【最優秀マイラー】
ロジリオン(父リオンディーズ)
京都金杯3着からリステッド競走の洛陽Sを勝利。決して注目度は高くないが、マイル~短距離の適性の高さは世代随一で、いかにもリオンディーズ産駒という一頭。
【最優秀ダートホース】
ロードクロンヌ(父リオンディーズ)
今年は6戦して、G3の4連戦を含む全て3着以内と安定した成績を残した。惜しくも重賞制覇とはならなかったが、群雄割拠のダート中距離戦線でこの成績は立派であり、来年はどこかで重賞勝利を期待したい。
【シーザリオ一族・年度代表馬】
ミュージアムマイル(父リオンディーズ)
3歳で有馬記念を制し、世代・距離・舞台を超えて輝いた存在。今年のシーザリオ一族を語る上で、この馬を外す理由はない。血の到達点として、2025年の年度代表馬にふさわしい。種牡馬デビューした3兄弟の中で、唯一社台スタリオンステーション入りが叶わなかったリオンディーズであるが、限られた社台系牝馬との組み合わせの中で、世代を代表する一頭を輩出したことが本当に素晴らしい。
2025年は、シーザリオという名牝が残した血が、点ではなく「面」となって競馬界を覆った一年だった。この物語はまだ終わらない。2026年、その血はさらに枝葉を伸ばし、新たな主役を生み出していくだろう。


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